地域活動コラム
まちづくりインタビュー
2026年08月07日 [まちづくりインタビュー]
【前編】里山を次世代へつなぐ――名瀬谷戸の会が育む環境教育の輪

里山の保全活動と環境教育にかける想い
戸塚区の貴重な「名瀬の里山」で、長年にわたり保全活動と環境教育に取り組んできた「名瀬谷戸の会」。その歩みは決して平坦なものではありませんでした。一つひとつの取り組みが、企業や地域、子どもたちとの信頼を育み、活動の輪は少しずつ広がっています。今回は、「名瀬谷戸の会」会長の田中真次さんにお話を伺いました。印象的なエピソードを交えながら、活動の魅力と未来への想いを語っていただきました。セカンドライフでの挑戦
田中さんの環境教育の原点は何だったのでしょうか。銀行員だった現役時代、新人育成を担当していた田中さんは、その経験から、人へ何かを教えることをセカンドライフに広げられないかと考えていたのだそうです。
そんな折、地域の方からの誘いで小学生向けの野菜の学習を依頼されました。戸塚区の鳥が丘小学校近くにある農地「わくわく農園」で野菜クイズを出したところ、子どもたちから大好評。この出来事が、現在の環境教育の原点となりました。
もともと山野草庭園づくりを趣味としていたこともあり、その後、森林インストラクターの資格を取得。わくわく農園での子どもたちとのふれあいの面白さや楽しさに魅せられ、環境教育という新しいフィールドへ踏み出しました。
”四感”で体験すること
里山での環境教育では、文部科学省の学習指導要領に則って学年ごとのカリキュラムが作られています。「教室で学んだ知識と、里山で得た体験。教室と里山、その両方で学べるんです。 」
「とにかく、実物に触れること。"四感"で体験すること。それが本物から学ぶという里山環境教育の基本理念のもとになっています。」
(味覚は、アレルギー等の関係で体験が難しいため、五感から味覚を除いて”四感”と表現されています)
「むずかしいことはやさしく」
「”先生”とは呼ばせない。”しんちゃん”って呼んでもらっているんです」と嬉しそうに話す田中さん。ニックネームで呼んでもらうことで、子どもたちと同じ土俵に立ち、大人と子どもの壁をなくしたいという想いがあります。
また、「難しいことは言わない」と話します。
田中さんは、環境教育の現場において、作家・井上ひさし氏が残した有名な言葉を念頭において子どもと接していると言います。
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに 」
この言葉は、田中さんが子どもに接する時の姿勢そのものです。
「子どもたちは感動するんです。終わったあとの感想文も、子どもたちは自分から書き始めちゃうんですよ。感動がある感想文は素晴らしいものになります。それが環境教育なんです」
環境教育は子どもだけのものではなく、学校の教職員や企業に対しても行っていると、田中さんはおっしゃっていました。学校の教職員や企業との取り組みについては、後編に続きます。


